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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第11章 虚しさという名の快楽

指の間から溢れた放物が、花菜の白い脇腹へ垂れていく。

ポタリ、ポタリと

それまでの興奮と勢いを諌めるような、落ち着いた水音を立てながら──。


「……ハァ、……ハァ」


乱れ、苦し気な吐息。

まだ硬さの残る竿の、細い管の中を少量の体液が通りぬけていた。

なかなか終わらない快感で伊月の脚がビクビクと痙攣し、花菜に被さったまま身動きが取れない。

身体は酷く困憊( コンパイ )している。

腰だけを浮かせて崩れ落ちた伊月は、花菜の首筋に顔をうずめた。

「…っ、ハァ……」

そして伊月は全身に行き渡るように大きく息を吸う。

互いに一度ずつ快楽の果てを迎えた二人だが、すでに花菜の熱は冷め始めており

残った汗だけが彼女の肌を湿らせ……その芳香を伊月の鼻へ送り込んできた。


「…フ…─ッ、フ、クク……」


余裕がないのは伊月だけだ。

目を閉じる花菜からは落ち着いた寝息が…

伊月をあやすかのようにゆったりと打つ心拍が聞こえる。





──






花菜……君は


あの時の言葉を、覚えているだろうか






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