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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第5章 狼の本性

“ この人、何を言ってるの…!? ”

そのまま花菜が固まっていると、しゃがんだ不破が代わりに筆箱を拾った。

その筆箱は昔、伊月から彼女にプレゼントされた、若草柄のがま口ペンケースだ。

「だったら放課後、教室に残っておけ。…お前の学年とクラスは?」

「学年とクラス…!?─…は、えっと、3組です。1年の…っ」

「わかった」

拾った筆箱を押し付けて彼は立ち去ってしまう。





ほ、放課後に……?


『 俺に惚れたのか 』


ホレたって、そんなわけないよね。

ない、ない。あるわけないよ。

だってわたしは…ああいう人が嫌いな筈だから。

学校なのにだらしなく服装を崩して、タバコまで吸うようなそんな人。

いちおう、助けてもらったお礼くらいは言っておこうと思っただけで

わたしは嫌いだもの。


『 俺を…──誘ってるのか 』


…ただ、ほんの少し


あの人のことが気になるわたしは


わたしは──…。








──




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