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友達のままがいい
第3章 過去(中学生)…
私は久しぶりに彼の家に足を向けた。
3年ぶりの家だった。
たった3年なのに懐かしく感じた。
そして楽しかった小学生の頃の記憶がよみがえる。
好きだった彼。
何を求めることもなく。
そこにいるだけで好きだった。
それだけで満足していた遠い記憶。

玄関先で躊躇していると、中から階段を駆け下りてくる足音が聞こえ、ドアが開く。

「びっくりしたぁ…窓からお前見えて驚いた」

少し照れくさそうに彼は私に告げる。
久しぶりに見る彼は少し痩せていて大人っぽくなっていた。

彼の家は父親がいなかった。
私たちが小学3年の時に事故でなくなっている。
私たちが仲良くなるきっかけになった出来事でもあった。
それからは母親と2人で生活していると聞く。
とても優しく、元気のいい人。
今日も彼の母親は仕事で外出中だった。

「全然変わってないね」

部屋の中を見渡しながら告げる。

「そうか?…でも、こうやって話すのも久しぶりだよな」

「そうだね…入学した当時はつるんでいたけど、それぞれ新しい友達とかできちゃったからね。あの頃の他の男友達とも会ってなかったの?」

「ああ。3年になって同じクラスになった奴もいたけど、なんとなくなぁ~それぞれの友達も違うから…そんなもんじゃない?」

そっかぁ~と少し寂しく感じる。
久しぶりに会って話をすると昔と変わらない彼がそこにいた。
人に対して思いやりがあるやさしい彼。
今も昔も変わらない。
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