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友達のままがいい
第2章 現在…
「水飲みたい」

コタツの中から小さい声が聞こえてくる。
ペットボトルのキャップをはずし、彼に声をかける

「はい。お水。起きて」

そう告げても彼は動こうとはしない。

「起きないと飲めないよ」

揺さぶるが起き上がろうとしない。

「飲ませて・・・」

甘えながらトロンとした目で見つめてくる。
飲ませて




思考が止まる。




「…もしもし…?」

恐る恐る声をかける。
返事をする代わりに両腕を上げて何かを探す。
宙を彷徨い、その手が私の頬に触れ指が唇をなぞる。

「その口で飲ませて…」

そう言った彼は抵抗しない私の頭を自分の顔に近づけ水も含んでいない唇を重ね合わせる。
重なり合った唇はお互いの体温を伝える。
そこに確かに相手がいるのだと。
それを感じ取った彼はゆっくりと舌で唇をなぞり開きかけた隙間から舌を滑り込ませる。
私の舌を探し当てるのに時間はかからない。
舌が絡み合いとろけそうになる。

頭の隅で警告が鳴り響く。
このまま流されては駄目だと。
このまま先にすすんだら友達でもいられなくなると。
あの時に誓った思いを。
あの時に味わった苦しみを。
もう一度味わうのかと。

分かっていてもどうすることもできなかった。
彼の唇の温もりが。
頭を押さえつける彼の腕の強さが。
私の判断を鈍らせる。
このまま彼におぼれたいと。
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