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それを、口にすれば
第17章 それを、口にすれば
「あなた……どうして?! 上海は……記者会見は?!」
理沙子も続けて声を上げるが、結城の目には優雨の姿しか映らない。
「優雨っ……」
そして優雨に向かって真っ直ぐに駆け寄ると、跪いて上着を脱ぎ、優雨の肩に掛けた。
「こんなことになって……すまない。すぐに飛んだんだが……」
力強い腕が優雨の身体をすっぽりと包み込む。
先ほどまで気丈に話していた優雨だったが、その肩は小さく震えていた。
「結城さん……」
ああ、来てくれたんだ……でも上海って……記者会見って……。
結城が以前話してくれていたことを優雨は思い出していた。
理沙子の父親と共同で進めていたという大きな企業買収……それが近々実を結び、記者発表も近いということを。
それが、今日だったのだ……。
理沙子がヒステリックに叫ぶ。
「貴方のこれまでの努力の集大成でしょう?! どうしたの、記者会見は……ねえ! お父様はなんて……」
「……お義父さんは驚いていたが、今回の事業の全権利を譲渡することで一応納得してくれたよ」
「嘘よ……そんなことしたら……」
それは、結城の今までの成功も全て台無しにしてしまうかもしれない決断だった。
理沙子も続けて声を上げるが、結城の目には優雨の姿しか映らない。
「優雨っ……」
そして優雨に向かって真っ直ぐに駆け寄ると、跪いて上着を脱ぎ、優雨の肩に掛けた。
「こんなことになって……すまない。すぐに飛んだんだが……」
力強い腕が優雨の身体をすっぽりと包み込む。
先ほどまで気丈に話していた優雨だったが、その肩は小さく震えていた。
「結城さん……」
ああ、来てくれたんだ……でも上海って……記者会見って……。
結城が以前話してくれていたことを優雨は思い出していた。
理沙子の父親と共同で進めていたという大きな企業買収……それが近々実を結び、記者発表も近いということを。
それが、今日だったのだ……。
理沙子がヒステリックに叫ぶ。
「貴方のこれまでの努力の集大成でしょう?! どうしたの、記者会見は……ねえ! お父様はなんて……」
「……お義父さんは驚いていたが、今回の事業の全権利を譲渡することで一応納得してくれたよ」
「嘘よ……そんなことしたら……」
それは、結城の今までの成功も全て台無しにしてしまうかもしれない決断だった。