この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夜伽月 よとぎづき
第2章 水琴窟
…信心深い人達って言ってたよね。
「蝮和尚さん、赤ちゃん達と史様のこと任せて貰えないでしょうか?」
「え…」
蝮和尚は真っ赤な顔で月を見た。
…随分と出来上がっちゃってる。大丈夫かしら。
「お願いします…悪いようにはしませんので…。」
かんざし婆さんの方をちらりと蝮和尚は見た。
「わ…儂は…一向に構わんが…」
「じゃあ決まりですね!」
月は布に包んだ赤ちゃんを抱えた。
「史さんの2人の赤ちゃんを助けるために…この子をお借りしますね」
月は深々と史に頭を下げた。
「あ…ちょっと待て…死んだ赤子なぞどうするつもりだ?」
「心配しないで、かんざし婆!悪い様にはしないわ。それでは早速お母さんたちのところへ行きましょう」
月はお時を連れてさっさと部屋を出て行ってしまった。
「…何という無鉄砲な奴じゃ!飛び出していきおった」
蝮和尚は再び酒を飲んだ。
「ほら…生臭!ぼさっとしてないで、あたしたちも行くんだよ!」
「武家の奥方じゃぞ?下手したら、捕まる」
「その時は、その時じゃ。あんたもあたしもその時はただじゃすまんだろうね。まぁみーんな“お道連れ”じゃな」
かんざし婆さんは、鼻息荒くどすどすと大股で廊下を歩いていく月の後を追った。
「ありゃまぁ…人魚様というよりは、歩く姿は力士様じゃな。かんざし婆…産婆稼業よりも、あれには作法をもちっときちっと教えないと、尼にはさせられんぞ。こりゃ…」
「あれは…確かに炊事洗濯どころか手習いだってさっぱりだ。だけどね…頭の良い子だよ。きっと何か良い策を思いついたのさ。ほらっ!無駄口は良いから、あんたも早く来るんだよ」
かんざし婆さんの顔には余裕すら見えた。その自信はどこからきたのかねと、蝮和尚は呆れながらも、どっこいしょと重い腰を上げてふたりの後に続いた。
「蝮和尚さん、赤ちゃん達と史様のこと任せて貰えないでしょうか?」
「え…」
蝮和尚は真っ赤な顔で月を見た。
…随分と出来上がっちゃってる。大丈夫かしら。
「お願いします…悪いようにはしませんので…。」
かんざし婆さんの方をちらりと蝮和尚は見た。
「わ…儂は…一向に構わんが…」
「じゃあ決まりですね!」
月は布に包んだ赤ちゃんを抱えた。
「史さんの2人の赤ちゃんを助けるために…この子をお借りしますね」
月は深々と史に頭を下げた。
「あ…ちょっと待て…死んだ赤子なぞどうするつもりだ?」
「心配しないで、かんざし婆!悪い様にはしないわ。それでは早速お母さんたちのところへ行きましょう」
月はお時を連れてさっさと部屋を出て行ってしまった。
「…何という無鉄砲な奴じゃ!飛び出していきおった」
蝮和尚は再び酒を飲んだ。
「ほら…生臭!ぼさっとしてないで、あたしたちも行くんだよ!」
「武家の奥方じゃぞ?下手したら、捕まる」
「その時は、その時じゃ。あんたもあたしもその時はただじゃすまんだろうね。まぁみーんな“お道連れ”じゃな」
かんざし婆さんは、鼻息荒くどすどすと大股で廊下を歩いていく月の後を追った。
「ありゃまぁ…人魚様というよりは、歩く姿は力士様じゃな。かんざし婆…産婆稼業よりも、あれには作法をもちっときちっと教えないと、尼にはさせられんぞ。こりゃ…」
「あれは…確かに炊事洗濯どころか手習いだってさっぱりだ。だけどね…頭の良い子だよ。きっと何か良い策を思いついたのさ。ほらっ!無駄口は良いから、あんたも早く来るんだよ」
かんざし婆さんの顔には余裕すら見えた。その自信はどこからきたのかねと、蝮和尚は呆れながらも、どっこいしょと重い腰を上げてふたりの後に続いた。