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夜伽月 よとぎづき
第3章 四ツ目屋
「あんたには、関係無い」
かんざし婆さんは、敵対心剥き出しだ。
「関係ありますよ。あそこの家とは懇意にしてましてね」
それに引き換え清賢は、涼しい顔で笑みさえ浮かべている。
「そちらが、夜伽様でいらっしゃいますか?お初にお目に掛かります。なんと肌の白いこと…お噂は予々聞いております」
こちらを見て丁寧に会釈をした。月も慌てて会釈を返す。
「夜伽。さぁ帰るよ!」
かんざし婆さんは、さっさと部屋を出て行ってしまったので、慌てて月も続いた。
「夜伽!店の手伝い必ず来いよ」
「はい。分かりました」
パタパタと月は、その後を追いかけた。
「ほほう…噂は偽りであったか」
清賢は、ぽつりと呟いた。
「噂?」
「ええ。夜伽様が話すと、口から真珠がこぼれ落ちると」
清賢は、月の背中をじっと見つめていた。
「あははは。流石にそれは、無いですよ」
「でもまぁ。腹の子が双子だと産まれる前から分かるとは…」
ふわりと着物の袖を整えてから、清賢は座った。
「それは本当っす!俺は、ちゃぁんと聞いてましたから」
久太が、月の話をしようとするのを清賢は制止した。
「早速ですが、お願いしていたものを頂けますか?」
久太は棚の中から小さな包み紙を出した。
「こちらは清から伝来したものです。なかなか手に入らず苦労しました。なんでも200年生きた人魚のものだそうです。そしてこちらは洋物の蝋燭」
清賢和尚は、そのふたつを懐にそっとしまった。
「和尚さん。中身を確認しない宜しいのですか?」
久太はどちらとも値が張るものなのでと、確認を促した。
「いえいえ。私はあなたのことを信用しておりますから」
清賢和尚は零れる様な笑みを浮かべた。
「人魚の燻製は不老不死。知り合いがどうしてもというもので…。蝋燭は同じ大きさでも、燃える時間が長いですからね…写経をするのに使うんですよ」
中世的な清賢には、熱狂的なファンが居るという噂だった。
「はぁ~相変わらず勉強熱心なことですね」
大人のおもちゃが周りにあっても、全く気にする様子も無く落ち着いた雰囲気だった。
「これも修行ですからね…では」
ゆるりと立ち上がると襟元を正し、音も立てずに清賢は部屋から出て行った。
かんざし婆さんは、敵対心剥き出しだ。
「関係ありますよ。あそこの家とは懇意にしてましてね」
それに引き換え清賢は、涼しい顔で笑みさえ浮かべている。
「そちらが、夜伽様でいらっしゃいますか?お初にお目に掛かります。なんと肌の白いこと…お噂は予々聞いております」
こちらを見て丁寧に会釈をした。月も慌てて会釈を返す。
「夜伽。さぁ帰るよ!」
かんざし婆さんは、さっさと部屋を出て行ってしまったので、慌てて月も続いた。
「夜伽!店の手伝い必ず来いよ」
「はい。分かりました」
パタパタと月は、その後を追いかけた。
「ほほう…噂は偽りであったか」
清賢は、ぽつりと呟いた。
「噂?」
「ええ。夜伽様が話すと、口から真珠がこぼれ落ちると」
清賢は、月の背中をじっと見つめていた。
「あははは。流石にそれは、無いですよ」
「でもまぁ。腹の子が双子だと産まれる前から分かるとは…」
ふわりと着物の袖を整えてから、清賢は座った。
「それは本当っす!俺は、ちゃぁんと聞いてましたから」
久太が、月の話をしようとするのを清賢は制止した。
「早速ですが、お願いしていたものを頂けますか?」
久太は棚の中から小さな包み紙を出した。
「こちらは清から伝来したものです。なかなか手に入らず苦労しました。なんでも200年生きた人魚のものだそうです。そしてこちらは洋物の蝋燭」
清賢和尚は、そのふたつを懐にそっとしまった。
「和尚さん。中身を確認しない宜しいのですか?」
久太はどちらとも値が張るものなのでと、確認を促した。
「いえいえ。私はあなたのことを信用しておりますから」
清賢和尚は零れる様な笑みを浮かべた。
「人魚の燻製は不老不死。知り合いがどうしてもというもので…。蝋燭は同じ大きさでも、燃える時間が長いですからね…写経をするのに使うんですよ」
中世的な清賢には、熱狂的なファンが居るという噂だった。
「はぁ~相変わらず勉強熱心なことですね」
大人のおもちゃが周りにあっても、全く気にする様子も無く落ち着いた雰囲気だった。
「これも修行ですからね…では」
ゆるりと立ち上がると襟元を正し、音も立てずに清賢は部屋から出て行った。