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初めての浮気
第6章 春・・
虻田から高速に乗り、『ししゃも』の産地、鵡川からは地道で南富良野を経由して美瑛に到着してのは昼前でした。


『ステキな景色ね〜。まだラベンダーには早過ぎるのかなぁ? でも、すごくキレイだよ。一度、ここに来てみたかったの。パッチワークの丘に。広いねぇ。Mさんと一緒に来れて・・もう夢みたい! 』


私は記憶にないのですが、昔、このあたりの丘や樹木を背景に撮影されたタバコのコマーシャルがあったようです。そして私たちは車で移動する景色の中に一本の大きな樹を見つけたのです。その側に車を停めて


【大きな樹だね。これもポプラなのかなぁ。この樹にも、きっと名前がついてるんだろうね】


『ホントだね。私、ちょっと調べてみる。スマホで・・・美瑛・・大きな樹・・・で検索・・・あっ! これじゃない ? 【哲学の樹】・・・ほら 同じ形だよ。きっとこれだよ。』


私たちは、この時、初めてこの樹の名前を知りました。


『ねぇ。写真撮って!』


あまり写真撮影を好まない彼女が、珍しくそれをねだり、お互いに一枚ずつの写真を撮影したのです。それは、この旅で撮影した唯一の写真となりました。


そして千歳に向かい、彼女は、ご実家へのお土産にと【かま栄】のひら天と、【きのとや】の焼きたてチーズタルトを買い求め・・


『すごく楽しかったね。あっという間に3日が過ぎちゃって、今は、ちょっと寂しいけど・・でも、また一緒に来ようね。北海道に・・』


【うん。今度はトマムに来ようよ。きっとゆっくり過ごせるから】


『Mさんと一緒だったらどこでもいいの。今度はホントにどこにも行かずに、ずっと一緒に居たいの』


こうして旅は、幕を閉じました。


後日のこと


『実家にタルトを持って行って、母と一緒に食べてたんだけど、その時にね。母に言われたのよ。【アナタ、少しの間に随分キレイになったわね。もしかして◯彦さん(彼女のご主人)の他に、いい人が出来たんじゃないの? もしかして・・Mさん ?】って。私、そんなこと言われると思ってなかったから、ビックリしちゃって黙っていたら【図星ね。アナタの顔にそう書いてあるもの。私はアナタの母親なんだから、この目は、節穴じゃないのよ。でも、パパと◯彦さんにバレたら大変だから気を付けなさいよ】って。』




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