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伝わらない想い
第8章 人を愛するということ
「...痛っ..何するのよ」

引っ叩いた掌がじんじんと痛む。
でも、それ以上に胸が苦しくつかえていた。

「最低...」

「は?」
叩かれた頬を指輪が光る左手で押さえながらこちらを睨みつけてくる。

「最低」
もう一度その言葉を吐くと、悲しい訳では無いのに、目から滴が零れ落ちた。
「...もう、陸に...近付かないで」

「なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないのよ」

「...」

「陸の彼女にもなれたことないくせに」

「.......っ」

「ただの飲み屋の店員が偉っそうなこと言ってんじゃないわよ」

「...そう、だけどっ...」

それでも…。

「お願いします」
ぐっと拳を握り締め頭を下げる。

「彼の優しさを利用しないでください」
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