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伝わらない想い
第4章 幸せを願う
「行くぞ」
俺の手を振り払い、純と女はその横をすり抜けていった。

残されたその場所で、目に涙をいっぱい溜めて立ち尽くす彼女。

「茜ちゃん...」


...なんとか近くの公園まで連れてきてベンチに座った。

「大丈夫?」
大丈夫な訳ないことくらいすぐわかるのに、そんなことしか聞けない自分に嫌気がさす。

そんな気の利かない質問に彼女は無理矢理笑顔を作り答えた。
「私…嫌われちゃったみたいで…でも、綺麗な人でしたよね…あんな人がいるんじゃ、私なんて…、そもそも付き合ってるとかそんなんじゃなかったんだと思います…だから良いんです、私…、心配しないでください…ちょっと、びっくりしちゃっただけなんで…、ありがとうございます…、もう、大丈夫ですから…」
早口に喋りきって立ち上がる彼女。

ちっとも大丈夫じゃないのに強がる彼女を見て俺はその腕を掴んだ。

「大丈夫な訳ねぇだろ」
彼女の壊れそうな顔を見て、引き寄せる。

「強がってんじゃねえよ」

黙ってされるがままの彼女の肩は小さく震えていて。

「顔見ないから、好きなだけ泣けよ」

その一言で我慢していたものが一気に溢れるかのように泣き出した彼女を、俺はただ静かに強く抱き締めた。
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