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伝わらない想い
第4章 幸せを願う
...。

急いでブルースカイに向かう。

夜の街並に目もくれず走る。
こんなに走ったのは学生以来だ。

まだ若いつもりでいても、あの頃より体力は確実に衰えている。

肩で息をしながら店の前まで来てみると、影がふたつ。

「...待てよ」

俺の声に振り返った影のひとつは明らかに不機嫌な顔をしていた。

「なんだよ」

「純、茜ちゃんはどうしたんだよ」

純の横に纒わり付く女は彼女とは似ても似つかない女だった。
どこかで見たような顔だけど今はそんなことどうでも良い。

「放っとけよ」

「放っておけるかよ」
純の胸ぐらを掴み上げると、その手を振りほどくように純が俺の手を強く握り返してくる。
「離せ」

「なぁ、頼むから...あの子を泣かすなよ」
感情が込み上げてくる。

「お前にそんなこと言われる筋合いない」

「あの子が泣いてるとこを見たくないんだ」

「じゃあお前が相手してやれば良いじゃん、俺にはもう関係ない」
感情的になっている俺に対して、純は至極冷静で凍り付くような目をしていた。

その冷ややかな空気の後ろにまたひとつ。
別の影。

「あ...茜、ちゃん...」
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