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友達でいるしかない
第5章 変わらない想い
付き合いはじめて、シズの大胆さに少し驚いたものの女の方から誘ってくるのも新鮮で楽しめた。
むしろいいかもしれないと俺は受け身で彼女に任せていた。
追いかけるより追われる方が楽だと感じていた。
アプローチがすごすぎて困惑することも多く、Hを拒むのも一苦労。
つきあって1週間…もう少し待ちたい。
身体だけを求めたくなかったから…
それに、彼女ができたことを文香にまだ話していない。
昨日も一緒に手を繋いで帰った。
シズに悪いと思いながら、中々言い出せない。
他の奴から聞かされるより俺から…と思っても中々と伝えられずにいた。

「なぁ…文香…」

彼女の名前を呼んでみる。
今日も手を繋いで歩きながら隣の文香に話しかけてみると、うれしそうな顔で俺の顔を見る。
言う決意をしてたのがあっさりと壊れてしまいそうになる。
壊れてしまいそうになるが…伝えなければもっと傷つけてしまうと自分に言い聞かせる。
友達として大事だから…

「…もう…」

この手を手放す決心をつけるために、つないでる手に力を込める。

「文香とは手を繋いで歩けない…」

文香の足が止まった。
不思議そうに俺の目を真正面から見つめてくる。

「…なんで…?」

「うん…少し前に彼女できた…から…」

それを伝えるだけで精いっぱいの俺に文香は簡単に答えた。

「そう…なんだ…おめでとう」

文香は俺に笑いかけ繋いだ手を躊躇なく離す。
俺に彼女ができたことを知れば手を離すのは当たり前だと思う。
だけど…もう少し寂しく思ってくれてもいいんじゃないかと思ってしまう。
彼女にとって俺と手を繋ぐことは、単に友達の延長上の事…そこに少しでも俺への気持ちがなかったことを知らしめさせられる。
そんな俺の想いに気が付かない文香は、いつもの曲がり角までくると元気に俺に手を振って走っていってしまった。

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