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友達でいるしかない
第9章 幸せの始まりは…
「則孝は一度家に帰る?スーツのままじゃ窮屈じゃない?」

「そうだな…じゃ、一度俺の家に寄ってからでかける?」

「うん。この前行ったとこは、すぐに帰っちゃったから、ゆっくり則孝の部屋見たい」

文香の興奮が伝わってくる。

「別に普通の部屋なんだけど…」

「それでもいいの。今の則孝を知りたいから」

それはどんな言葉よりうれしい。
今まで空いていた空間を少しずつ埋めていくために知らなかった部分を埋めていけばいい。

「なぁ…夜は…俺の家に泊まらないか?…きっと帰したくなくなるから…」

俺の提案に恥ずかしそうに頷いてくれる。
その顔にまた抱きたいと俺の心が反応する。
だけど今はしない。
文香に負担をかけさせたくないから。

「じゃ、準備していきますか?」

まだ理性が働くうちにでかける準備をする。
着の身着のまま俺の準備なんて大したことはない。
テレビを見ながら文香の準備が終わるのを気長に待つ。
それでも15分もすれば化粧まで完璧に終わって支度が整う。
淡い花柄のワンピースが小柄な文香に似合っていた。
部屋を出て外に出る。
まだ冬だというのに陽の光で外は暖かい。
2人で並び歩き出す。
今までも隣に並んで歩くことは何度もあった。
だけど今日は違う。
文香は俺の彼女で俺の愛しい人。
これからもずっと、2人で歩いて行きたい。
喧嘩することも泣かせることも多くあるだろう。
それでも俺の愛情は変わらない。
俺は並んで歩く文香の手を取り繋ぐ。
文香が俺を見て微笑む。
その笑顔が俺を幸せにしてくれる。

Fin

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