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美術教師の羞恥奴隷
第20章 聖水ショー ■亜美子編①■
 藪下が説得するような口調で、さらに言った。

「いつでも用を足していいぞ。見てのとおり、モデル台とその周囲にはシートが敷いてあるので、何ら気兼ねする必要はない」

 そう言うと、藪下は再び自分の席へと引き返しながら、なぜか視線を上げる。

 そして、エアコンの隣に飾られている、「バナナを持った猿」をかたどった木製の薄っぺらい人形を見上げた。

 猿の双眼は、カーテン越しに差し込んでくる夏の午後の陽光を受けて、かすかに煌いている。

 しかし、藪下がそれに視線を向けていたのはほんの2秒程度のことだった上に、亜美子に背を向けて席へと戻る最中だったということもあって、亜美子は一切気づくことはなかった。

 もっとも、亜美子は藪下の様子や、部屋の様子などに注意を払うほど、余裕のある状況ではないのだ。




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