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螺旋の巣
第2章 華西女子高校
美咲は7種類の制服を着た画像を写真にして、7枚の架空の学生証を作った。

学生証のテンプレートは掲示板やSNSの添付画像から探し出した。

学校名は実在するも、生徒は存在しない。

男達とホテルで会った時、美咲は毎回テーブルにさりげなく学生証を置く。

どうせ男達には真偽は判らない。

あくまで、男達を欲情させるだけのツールでしかないが、学生証に貼られた美咲の写真は、真に女子高生そのものだった。

脱衣室の洗面化粧台で髪をツインテールにしてみた。

全ての準備が終わりリビングへ戻ると、時計は12時を回っていた。

加藤は午後2時半に迎えに来る。

美咲は冷めた紅茶を飲み干し、ソファーに横たわった。



うたた寝をしていたらしい。

美咲はパッと目が覚め時計を確認した。

午後2時10分

美咲は慌てて洗面化粧台に向かい、軽くコロンを首筋に浸す。

髪の乱れを整え、トイレに入った。

リビングに戻り、スマホや財布それと学生証を手提げ鞄に入れ、制服の入った白の手提げ袋を抱えて玄関を出た。

今日は何故か緊張する。

いつもと同じバイトなのに…

美咲は玄関から歩道に出て左右を見渡した。

左側の前方に1台の県外ナンバーの黒いBMが停まっていた。

美咲は恐る恐る車に近づき、助手席側のウィンドウを覗いた。

運転席には、黒いスーツに黒のサングラスを掛けた加藤が座っている。

加藤はチラッと美咲を見て後部ドアのロックを外した。

美咲はドアを開けて乗り込んだ。

「加藤さん、御願いします。」

加藤は前を向いたまま、

「加藤でいい…それと敬語は要らない。」

「ええっ、それではあまりにも失礼だから…」

「お前は雇い主だ。当たり前のことだ。」

「えーと、それじゃ加藤、向かって…いや…車を出して。」

美咲は戸惑った。

17歳は女の子が、49歳の男性を呼び捨てにして指示を出す。

「加藤さ、…いや加藤、場所は駅前のコンビニ駐車場。」

加藤は返事もせずに車を出した。

他人が見たら、「やくざの組長の娘が、幹部に車で送迎させている。」と間違いなく思うだろう。

「加藤、凄い車だけど…加藤の車?」

「ああ、退職した際に社長から貰った。」

( 社長じゃなく、組長のことね。 )

車は徐々に街中に近づき、やがて駅前のコンビニが見えてきた。






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