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彼の秘密
第1章 出会い
「うっわ、ヤバイヤバイ!あと一分で出ちゃうよ」
暁 雫は8:00を指す時計を見て慌てながら駅中を走っていた。

「わぁ、待って待って!」
自分が乗らなければいけない電車が駅に着くのを階段をかけ降りながら気づく

雫は急いでドアが閉まる前に体を滑り混ませた。
息を切らしながら吊革を掴む。
通勤ラッシュの中、彼の飛び込み乗車は周りの人には迷惑な行動だが彼はそれどころでなかった。

今日は高校生初日・・・入学式
登校時間が8:30まで、家から学校まで約30分かかるなか彼が起きた時間は7:40分、家を出たのが50分
幸い家から近くで、走れば7分くらいで付く距離
しかしこの8時の電車を逃すと遅刻するというわけだった

疲れたけど通勤ラッシュのこの時間帯、どんどん人が入ってきて奥に追いやられ、座って休むこともできなかった
汗を袖で拭いながら首を回し周りを見渡す
電車の人混みは苦手
他人との密着は心地の良いものでは無いし、なにより窮屈だ。

次々と人が入ってきて押される
勢いで目の前の人の靴を踏んでしまった

「あ、すみませ・・・」
謝ろうと思い顔をあげたら、そこには顔の整った男性がいて思わず息を飲んだ
「いいよ、大丈夫?」
と逆にこちらの方を心配する声かけに印象はいい人だ。
よく見るとその人は自分と同じ制服を着ていて、同じ学校の生徒みたいだった

「あっ・・・はい。あの同じ学校なんですね」
俺がそういうと彼は俺の制服に視線を落とし笑った。
「そうみたいだね。君は・・・新入生かな?」
その笑顔がすごい素敵でこちらまで口が緩んでしまう
「えっ、あ、はい。暁 雫って言います」

「そう、俺は二年。渡 暁。」

「そうなんですか!?あ、なんか本当ぶつかってすみません。」

「謝らなくて良いよ。それより次で降りなきゃね」
と外を見ると自分が降りなきゃいけない駅手前の駅についていた。

「降りれますかねこんな人混みで」
そんな心配通り駅についても人にもみくちゃにされ簡単には降りれそうになかった
早くしないとドアが閉まってしまうと少し焦ったとき、自分の腕を誰かが掴んで引っ張られた。
されるがままに俺は電車から降りると腕を掴んでいたのは先輩だった。
「急にごめんね、降りられなさそうだったからつい」

雫は頭を深々と下げる。

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