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彼の秘密
第18章 二人の時間
そもそもカラオケに鍵付きの部屋なんてないし、氷室さんがそれを先輩に渡した時点でおかしいのに、それを言いだせなかったのはただただ先輩の雰囲気が怖かったからで決してそんなことも思いつかなかったわけではない。

が、逃げ出そうと考えなかったのは逃げたらそのままこの関係は終わってしまいそうだったから、たとえ腕が痛もうともそれを振り払えなかった

ただ、ここまでする必要はあるか?
先輩に連れてこられた場所はスタッフルームと書かれた部屋だ。

確かにこういう場所なら鍵は必要だ、しかしそれを一般人に渡しちゃだめだ思う

それにさっきいつもの部屋って言ってたし・・・寂しかった

「いつも」って何?「やる」って何を?
今までもそういうことしてたってこと?
他の女子をここに連れ込んでナニをしてたと・・・?

そう考えるととても悲しい気持ちと、その人たちと同じ場所に連れていかれることに嫌悪感が溢れた

もしかして遊び?

「雫?・・・あ、ごめん腕痛かったよね」
やっと彼は気が付いたようで腕を離してくれた、けど今は逆に掴んだままでいてほしかった
「あ、あの。遊びですか?」
言うのが聞くのが怖いけど、止められなかった
「えっ?」

「俺も今までの子たちと同じですか?」

「何言って」

「さっき、聞こえたから氷室さんと話してるのが」

「あぁ」
先輩は視線を斜めに上げ再び目を伏せたけど、それを否定するそぶりは見せなかった

「本当なんですか?」

「否定はしない」

「そんな・・・なんで」

「雫、聞いて」

「嫌だ!聞きたくない。そんなの」

「違う、遊びじゃない。けどちゃんと言うべきだったねごめん。」
憂い気な目を床に向け、側にあったパイプ椅子に腰を降ろして顔の前で腕を組んだ
「ちょっと前の俺のことについて話すね」
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