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彼の秘密
第1章 出会い
入学式は軽くリハーサルをしたあと、一旦教室に戻り待機してから本番という形だ。

期待に膨らんだ小学生の時とは違う、校長の話が長く退屈なことを欠伸で表現されようとしたとき。

校長の話が終わり在校生代表の式辞となったとたん、新入生はざわついた。
何にざわついているかわからない俺は、欠伸を仕掛けたまま彼を見て口をあほのように開け放しにした。


「ご入学おめでとうございます。桜が舞い散る中、本日は空も晴れやかに皆様のご入学を歓迎しています。
新しい生活が皆さんを迎えるなか期待や不安が入り交じっていると思います・・・」
すらすらと、噛むこともなく淡々と式辞を読んでいたのは今朝の先輩だった。
だいたいこういう場の在校生代表は、生徒会長という場合が多い。
ということはまさか
「これを祝辞とさせていただきます。
在校生代表 生徒会会長 渡 暁」

これまた見本のような礼をし終わって、檀をおりるなか盛大な拍手が体育館を包む。
その中近くにいた父兄の話し声が聞こえた。
「あれが噂の会長さん?」

「えぇ、模試も校内で一位を取られたとか」

「でも、まだ二年生でしょう?」

「だから噂なんでしょう。」

噂の?
俺がここに入った理由は自分の中学じゃほとんど行く人がいないところだったから、あまり校風とか部活とか何があるのかもよく知らない。
だから噂などと言うものも自分の耳に入ってくることもなかった。

それがどれだけ有名なことでも
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