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指先
第2章 好奇心
商店街をブラブラして着いたのは

海鮮焼メインの大衆居酒屋だった。

山岸さんからご飯に誘われたのだ。

別にご馳走されるつもりはなかった加奈子だが

折角だから甘えておけと押しに押されて今に至る。

カウンターにはキレイに魚が並べられている。

「友達が海鮮嫌いで…来たかったけど

来れなかった店でした。

今日来れて嬉しいです。」

「よかった。ひとつ得したね。」

この居酒屋が気に入って毎週木曜は

2人で飲みに行くことになった。

山岸さんの初めに人を

寄せ付けない鉄壁なイメージが

崩れてきた。

山岸は

少し酒が入ると顔が赤くなって、少し微笑む。

ポロが出るようになった。

中盤から酒を飲むと

小指が立ってしまうところもある。

「加奈子ちゃんって、初対面の時

怒ってるのかと思ったよ。」

「よく言われます。人見知りなんです。

ニッコリ笑顔で話されると

さらに緊張して警戒して

壁作っちゃうんです。

初彼氏がそんな人で…トラウマかも。」

「はははっ!よかった、

嫌われてるのかと思ったよ。」

「山岸さんみたいな人、嫌う人いないでしょ?」

「加奈子ちゃんはどう?俺の事、男として見れる?」

言葉が出ない加奈子。

どう返事すればいいんだろう?

いいも悪いも失礼のような気がする。

「なーんて、今日は飲みすぎたかな?お会計っ…」

「…すっ。男として見てます…。」

下向きながら、ぽつりと加奈子は答えた。

加奈子の耳は赤くなっている。

「そんな照れながら言われると

もっと好きになっちゃうな。」

山岸は加奈子の顔に触れるか触れないかの距離に

顔を近づけて囁いた。

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