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恋の行方を探してください【完結】
第33章 【三十三話】楽しいひとときの後は
 ゆさゆさと肩を揺すられたところで、美哉は自分が置かれている状況を思い出して、目を覚ました。

「え、私……っ」
「うん、よく寝ていたな」

 優しい顔をした由臣が目の前にいて、美哉はかなり戸惑った。

「まさかずっと寝顔を見てたなんてことは……」
「あー、やっぱり分かったか」
「最低です!」
「最低じゃないな、最高だったよ。美哉は寝顔もかわいいなぁ」
「もしかしなくても、今日の朝も……」
「うん、見てた。ムラムラするぐらいかわいい寝顔だった」
「…………」

 由臣の最低なセリフに、美哉は由臣の肩を押して、身体を離した。

「ほんと、最低です」

 美哉はそう言うと、ふいっと由臣から顔を反らした。
 部屋を別々にしてください! と言いたいところであったが、美哉は由臣に拾ってもらった立場だ。寝る場所があるだけマシだと思っている。図々しければ部屋を別にしてほしいと言えたのかもしれないが、たとえ言ったとしても、由臣は別室を用意するつもりは端からないため、結果は同じだ。

 と、美哉は顔を反らして、窓の外が目に入った。

「あれ? どうして事務所に戻ってきたんですか」
「槇のマンションに直接向かおうとしたんだが、勝千代から連絡が入って、昼から合流することになった」
「え……あぁ、お昼ですか」

 美哉は車の外に出て、伸びをした。

「川村さんもお昼食べますよね?」
「え……あ、わたしは……」
「お弁当でもあるんですか?」
「いえ、わたしは適当に済ませますので」
「それなら、私が作りますから、食べてください」
「いいんですか?」
「私が作ったものでよければ」
「喜んで! なんでしたら、お手伝いしますよ」
「そうですか? うれしいです!」

 美哉のうれしそうな声に、由臣は川村をじとっと見たが、川村は気がつかないフリをした。
 美哉は一足先に事務所へと戻った。
 残った由臣と川村は、不毛な言い合いを繰り広げていた。

「川村、後で覚えておけよ」
「由臣さまもお手伝いを覚えたらどうですか? 今さっきの美哉さまの笑顔、かわいかったなぁ」
「くそー……」
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