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第42章 【四十二話】『恋の行方』の行方

　ご飯を食べて、気持ちが落ち着くと、美哉は気になっていたことを思い出した。

「由臣さん」
「なんだ」
「恋の行方のデザインは」
「あぁ、それな。かなり気が進まないんだが、たぶんそれを持っているヤツの見当はついていて、今日、今から会いに行こうと思う」
「えっ、分かったんですかっ？」
「分かるもなにも、日下部物産の名前が出てきた時点で、あいつならやりかねないというのがいるんだ」
「日下部物産といえば、かなりの大手ですよね。この間、社長の娘さんが雑誌に載ってましたね。きつめな顔はしてましたけど、美人ですよね」
「……俺、あいつのこと、大っ嫌いなんだ」
「美人で胸があって、スタイルよくて、親がお金持ちって、私からしたら羨ましい限りなんですけど」
「あいつ、性格最悪だぞ」
「私も性格、いいとは言えないと思うんですけど」
「いーや、美哉はかわいいし、なによりも良い匂いがする。日下部綺華（くさかべ　あやか）は駄目すぎる」
「会ったこと、あるんですか？」

　美哉がそう聞けば、由臣はかなり渋い表情を浮かべて、吐き捨てるように答えた。

「……何度か」

　それを聞いて、どうしてだろう、美哉の心にずきりと痛みが走った。
　由臣は、明らかに綺華を嫌っているというのに、その心の痛みは、ここのところ何度か感じたことのある痛みと一緒で、美哉はそれが嫌で首を振った。

「お二人、並んだら美男美女でお似合いなんじゃないですか」
「美哉。言っていいことと悪いことがある。あんなのとお似合いとかいうな。それにアレは弓月当麻の婚約者だぞ」
「え。そうなんですか？」
「あぁ。最悪な二人がひっつくとは、最低なもんだ」
「……それなら、やっぱりどうして弓月さんが私なんかを構うんですか？」
「さぁな。俺にはさっぱりあいつらの考えることは分からん」

　由臣はそう言うと、立ち上がった。

「ということで、美哉。出掛けるぞ」
「え？」
「おまえは俺の助手だろうが。あんまり日下部綺華に会わせたくないんだが、こればっかりは仕事だ、仕方がない」
「行くのはいいんですけれど、依頼人は捕まったんですよね？　それでも続行させるんですか？」
「高木小夜は最初、ジュエリー・コバヤカワと共同でと言っていただろう。それに、探すと約束したからな」
「そういえばそうでしたね」