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恋の行方を探してください【完結】
第49章 【四十九話】あなたは誰?
 夜も遅いし、体調がよくない美哉のために、夢の中で見た男性は、紫紺と美哉の二人のためにホテルに部屋を取ってくれた。

「色々とありがとうございます」

 と美哉が頭を下げれば、男性は困ったように眉尻を下げた。
 そういう表情の変化を見ていると、どうしてだろう、美哉の心はざわめく。
 美哉の服だと言って、一泊用のボストンバッグを渡され、戸惑った。しかも中を見ると、見覚えのある服が入っていて、ますます戸惑った。

 パジャマから服に着替えて、美哉は男性が用意してくれたホテルの部屋に行った。部屋はツインだった。

「さっきの方、すごく親切でしたね」
「……本当に覚えてないんだ」

 とは、再会した時、青い顔をしていた紫紺。

「名前を聞き忘れたけど、紫紺は知ってる?」
「小早川由臣って名乗ってたぞ」
「こばやかわ……って、え、ちょっと待って? 小早川って、あの小早川?」
「あのがどれなのか分からないけれど、小早川グループの三男と聞いたぞ」
「……三男」

 そう言われて、美哉はまた、頭痛に襲われた。
 ずきずきと痛み始めたことに、紫紺はすぐに気がついてくれたようだ。

「無理するな、もう寝ろ」
「……うん」

 紫紺に助けられながら美哉はベッドに潜り込み、ぎゅっと目を閉じた。途端、涙があふれて来て止まらなくなった。
 それを見て、慌てだしたのは紫紺だ。

「美哉っ? どこか痛いのかっ?」
「ち……がう、の。勝手に涙が……出てきて……」
「美哉はあいつのことが、好き、なのか?」

 紫紺のその言葉に、美哉は泣きながら顔を赤くした。それを見た紫紺は、美哉の涙を拭きながら、笑った。

「オレ、失恋か」
「ううん、違う。私、紫紺のこと……好き、だもん」

 美哉は顔をしかめながら身体を起こし、紫紺に抱きついた。

「美哉、無理するな」
「無理してない。私、紫紺のこと」

 好き、と続けようとしたら、紫紺は指先で美哉の唇を押さえた。

「その好きはきっと、likeの好きだ。loveじゃない」
「…………」
「それでも、オレには充分だよ。だって、こうして美哉はオレを頼ってくれたんだから」
「紫紺……」
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