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恋は盲目
第1章 私の片想い


ギュッと掴まれた右手にピリピリと電流が走っている。

ゴソゴソ動くと気付かれてしまうと思い総司君の顔も見れない。

顔は至って普通に、解説を集中してきいてますよ、を装った。

総司君の手から力が抜け、離れるのかな、と思うとそのまま手首の方に手を移動させ軽く握る。

それから親指で慶太のイタズラをなぞる。


ぞわぞわっ


と、心地良いようななんとも言えない感覚に包まれる。

親指が手首から手のひらを行ったり来たりしている。


・・・あ、どうしよう。
これ、気持ち良い。


反射的に左手を口にあてた。




ただ手を撫でられているだけなのに、手が触れているという嬉しさと緊張とで手が敏感になっている。

「ーーーーーーーっふ」


興奮して息が上がる。

総司君の手がスベスベで私の手と絡み合って何だかいやらしい。

この気持ち良さが強くなるわけではないけど、興奮が高まっていく。


どうしよう。

どうしようもないほど好き。

手を触れ合ってるだけなのに嬉しくて泣いてしまいそう。

いよいよ目が潤んできそうになった時、

総司君は私の手から消しゴムをとって問題のどこかを消した。

総司君の手が離れてむず痒い気持ちからは解放されたけど、

ほっとしたような寂しいような不思議な気持ちになった。


総司君は「さんきゅ」と言って消しゴムを私の前に置いて、何事もなかったように授業に集中している。



まだ右手にさっきの余韻が残っていてピリピリする。
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