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狂い咲く花
第10章 一、猩々木 - 祝福

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美弥はうっすらと目を開いた…
そこには心配そうにのぞき込む父様と母様の顔があった。
その表情を見て、今見た夢が夢ではなく真実なのだと突きつけられた。
全てが夢ならいいのにと思っていても、2人の表情がそれを真実だと物語っていた。
あれは未来の葉月と麻耶の姿。
そして、私が2人の仲を拒めば…
流れる血が、生暖かな人の温もりが鮮明によみがえる。

―――そう。私が拒めばそれが現実になる

ただ将来を誓い合った美弥と葉月。
葉月の子供を身ごもっている麻耶と葉月。
どう考えても答えは決まっていた。

罪があるとすれば…私が葉月を好きになってしまったこと。
自分の事で葉月が傷つくことはない。
傷ついてほしくはなかった。
唯一愛した人だから。
心優しい美弥はそう思ってしまう。

「母様…葉月は帰った?」

「美弥が目を覚ますまで帰らないって…」

「そう…呼んできてもらえる?伝えたいことがあるから…」

起き上がりながら母様に頼む。

「あんなやつに…会わなくていい…二度とこの家の敷居を跨がせるつもりはない!!」

怒っている顔の裏で泣いているのが分かってしまう。
美弥は自分の事で父様も泣いているのだと心が苦しくなった。

「父様。お願い。葉月と話をさせて」

渋る父様に母様が語り掛ける。

「今は美弥の好きなようにさせてあげましょう」

その言葉を残して葉月を呼びに行ってくれる。
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