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呪縛
第3章 魔王と堕天使
何百年、何千年と生きる天界や魔界の住人は自分の生まれた理由すら解らなくなる。
魔王は天帝と違って代替わりをしない上に、この退屈な魔界へと押し込められている。魔王の座を狙う者、何を考えているのか解らない魔王退治に来るか弱き人間の相手をする事しかやる事も無い。
そのせいか、天界で長く生きている大天使の多くを今も生まれた理由が解る。
だからといって、魔王はやる事が無い。天界の様子をただ眺める事しか……。
そんな魔王に好機がやって来た。大天使レオナが地上へと落とされたのだ。堕天使となったレオナに魔王は直ぐに自分の側近達を迎えに行かせた。
「随分大人しく付いてきたようだな。レオナ。」
口元に笑みを浮かべて魔王は言う。
「神に等しき力を持つ貴方に逆らえる訳が無いですよ。」
「何故、エドガーを殺した?」
「見ていらしたんですね。あのままでは天界は何も変わらない。変革が欲しかったんです。」
「お前の力なら出来たであろうに。」
「何百年、何千年と生きる天界の者達が、廃れて行く中で私に出来る事などありませんよ。放って置いても地上は様々に変化して行くというのに、天界も神々が住まう天上界ですら、まるで何もやる事が無いかの様に……。魔王である貴方も退屈な日々をお過ごしだったのでしょう?ならば、貴方が私を欲する理由も察します。」
「俺はお前の思っているような事はしない。今更お前を使って天地をひっくり返した所でどうなる?ならばもっと面白い事に使わせて貰う。」
「面白い……事?ですか?」
レオナは魔王を訝しげに見上げる。
「そうだ。レオナ、この俺を楽しませろ。」
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