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第4章 ちょっと覗いて見てご覧？(禁断背徳)

「見付けたい人が居るから‥
だからこのリサイタル講演を、お受けしたんです‥‥」


「ほお‥
見付けたい‥男性か？
君の意中の男性というところか‥‥」


「そうね‥
でも、顔と名前だけしか知らない‥
もしかしたら、会える事があるかも知れない‥私の小さな望み‥‥」


顔と名しか知らん男を探して、各地でリサイタルか‥
このリュカ･泉という女性の発想は面白い。



「・・・
早乙女社長は‥私が探している人に似てると思います‥
勿論、あの人の方が遥かに年若いですが、雰囲気かしら？
それが少し似てる・・」


「俺が？
こんな雰囲気の男など沢山居るだろう‥」


「ええ、そうね‥
ただ少しだけ‥そう思っただけですわ」


「そうか‥
会えれば良いな、意中の男に‥‥」


「気長に探します‥
駄目でしたら、北海道で待ちます‥遅咲きの桜が咲く頃に‥‥
今日は、演奏を聞いて下さり、ありがとうございました」


「ああ、出来たらまた聞きたいもんだ‥‥」


主催側の思惑はどうであれ、あのリュカ･泉という女性は、そう簡単にそれに乗る女性では無さそうだ。


それもまた一興‥
純粋に、また聞ければ良いと思いながら、俺は彼女の楽屋を後にした。