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甘えた
第5章 05
ふと、名案が思い浮かぶ。

「ねぇ、莉壱?」

「なに?」

「あたしの男にならない?」

「ぶっ。なにそれ?さっき俺が言ったことと同じじゃん。」

「全然違うよ。あたしの男になったら余所見することは許さない。まぁ、莉壱はモテるだろうから余所見しっぱなしで無理でしょうけど?」

余所見するなってことは結愛花に手を出すなってことだよ?

これで少しは牽制できるかもしれない。

カレカノのフリをしてあたしが防壁になればいい。

こんな条件じゃノッて来ないかもしれないけど…

「いいよ。交渉成立」

快諾した莉壱は、ずっと正面を向いたまま会話をしていたあたしに顔を傾けキスをした。

まわりがザワっとし、キャーとかヒューとか聞こえたような気がしたけど、あたしは遠くに見える長谷川くんと視線を合わせていた。

大丈夫、心配しなくていいよ。

結愛花を守るための任務だから、上手くやってみせる…

「また明日。じゃあね、都羽」

潰したサッカーシューズの上から降りて立ち去った。

あたしは正面を見据えたまま動かなかった。

ていうか動けなかった…どーしてくれるんだ!この状況!

とっても注目されちゃってるんですけど……


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