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第2章 愁子×沙羅　－　桜の散る頃に

桜が咲く季節。
今年は例年より1週間遅くの開花。
満開まで5日程度…
この木も、あと5日待つと満開に咲き乱れるのでしょう…
狂い咲いて、儚く散る…

「私も、桜のように儚く散りたいものです。」

「まだ、お若いのに」

振り返ると50代とおぼしきご婦人が立っていた。

「私の家に何か御用かしら？」

「いえ。立派な桜の木をみつけてしまったもので…満開に咲く桜を思い浮かべていました…きれいでしょうね。

「ええ。自慢の1本ですわ。このあたりの方？」

「いえ。フラリと旅行をしています。」

女性は不思議顔をする。

「この辺り…ホテルなんてありました？」

「…ないですね…まだ今日の宿も決めていないんです…もうそろそろ陽も落ちる…探さないといけないのですけど」

にっこり笑ってご婦人を魅了する。