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暁の星と月
第3章 暁の天の河
月城は安心させるように微笑む。
「構いませんよ。…当家の庭園はいかがですか?」
暁は長い睫毛を瞬かせると、恥じらいながら答える。
「素晴らしいです。…あの…。僕は貴族のお屋敷に伺ったのは初めてですから…まるでお伽話の世界のようで…。こんなに綺麗なお庭があるんだなあ…て、うっとりとしていました」
…月城はふと、日本海に面した北陸の小さな漁村に残してきた弟のことを思い出した。
時々、東京の銘菓や綺麗な絵本や洋服を送ってやるのだが、その度に子供らしい字でその感激を精一杯手紙で寄越す弟は、恐らくこんな表情をしているのではないかと思ったからだ。
…もっとも、弟はこんなにも美貌ではないが…。

「…暁様、他の庭もご覧になりますか?」
月城が提案すると、暁が目を見張った。
「旦那様は庭園に殊の外、思い入れをお持ちで、この庭園を作り上げるのにわざわざ英国から専門の庭師を呼び寄せられたほどなのです。…この庭の奥にはそれは見事な温室もございますよ」
「温室も⁈」
暁の綺麗な瞳がきらきらと輝きだした。

そこに音もなく、伯爵付きの美男の従者の狭霧が現れた。
そして、シルクのように艶やかな眼差しで月城に微笑んだ。
「…ここは僕が引き受けるよ。月城君は暁様をゆっくり温室に案内して差し上げなさい」
少し前から二人のやり取りを見て、察したようだ。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」
月城は狭霧に謝辞を込めて、笑い返した。
「…では、暁様。ご一緒に参りましょう」
「…はい!」
暁は初めて子供らしく元気に返事をした。

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