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暁の星と月
第6章 その花のもとにて
真摯で温かな眼差しが、暁を包みこむ。
「…なぜなら、貴方はお兄様を愛していらっしゃるからだ。…愛するお兄様の不幸を、貴方が本気で願うはずがない…」
「…月城…」
「そうでしょう…?」
柔らかく貌を覗き込むように微笑まれる。
「…僕を買い被っていないか…?」
見上げる視線をそのまま受け止められる。
「…いいえ。私はこう見えて、人を見る目には長けているのです。…暁様は心優しく傷つきやすい繊細な方です。貴方が他人を本気で憎まれるなんて有り得ない…」
…折々に、遠くから見ていた。
この類稀なる美しい青年が、どのように成長してゆくのか…
…気にせずにはいられないほど、彼には美しさと…それと同じくらいに胸を突くような寂しさがまとわりついていたから…。

暁はそれまでの覆っていた装うような硬い表情を一気に溶かした。
恥ずかしがるように小さく笑い俯く彼は、月城の見慣れた暁だ。
「…君には敵わないな…。そう…。憎みたいけれど憎めない…。梨央さんもまた、兄さんに相応しい素晴らしい方だ…。
…梨央さんは良い方だ。…お美しくお優しく…淑やかで気品に満ちて…。
…兄さんとお幸せになって欲しい…寂しいけれどね…」
たどたどしく…しかし率直に語る暁はいじらしかった。そんな彼をじっと見つめる。
「…出すぎた質問をしてもよろしいでしょうか?」
「…何…?」
「お答えになりたくなかったら、ならなくて良いのですが…大紋様と暁様はお幸せな関係なのでしょうか…?」

月城の余りに直接的な質問に驚く。
元々月城は他人に興味を持ったり、深く接することを好む人間ではない。
月城自身も、なぜ暁の恋愛関係に言及しようとしたのか…なぜこうもこの青年が内面に抱えているものに惹かれてしまうのか分からずにいたまま、口をついてしまった質問であった。

暁は一度、丘の上から下界を見下ろすように遠い眼差しをした。
大紋のことを考えているのだろうか…
暁の繊細な彫刻のように美しい横顔が柔らかくなる。
「…好きだよ…。春馬さんに言ったことはないけれど…愛している…」
恥じらうように微笑む暁は、ひそやかに匂い立つ花が咲いたように美しく、月城は思わず見惚れた。
「…なぜ、大紋様に仰らないのですか?」
大紋が暁を熱愛しているのは、あの狂おしいまでに激しい情事を見れば分かる。
まるで、暁と刺し違えかねないような妄執を感じたのだ。




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