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暁の星と月
第10章 聖夜の恋人
礼也が一途な眼差しで月城を見た。
「…月城…。私はまだ光さんに間に合うだろうか?」
月城は頷く。
「光様は縣様をお待ちです」
礼也が男らしい形の良い唇を引き結ぶ。
そして、足早に玄関ホールを横切ろうとする。
思わず暁が、礼也の背中に叫ぶ。
「…兄さん…!」
礼也は振り返り、まるで子どもに諭すように告げた。
「…すまない、暁。ツリーの飾りつけは帰ってからにしよう。
…良い子で待っていてくれ…」
こんな時でも、礼也は暁を決して邪険にはしない。
優しく笑いかけ、安心させる。
暁は震える唇で、必死に微笑み返した。
「…いってらっしゃい…兄さん…」
礼也は頷くと素早く歩き出し、生田に告げる。
「出かける。私が運転してゆくので、運転手はいい」
生田は慌てて追いすがる。
「…旦那様、お召替えは?」
上質なものだが、紺色のカシミアのセーターにグレーのヘリンボーンのスラックスは、普段身嗜みの良い礼也なら、決して着ては行かない砕けすぎた服装だからだ。
「いい。時間がないのだ。このままで行く。留守を頼んだよ」
端的に告げると、慌ただしく玄関を出た。
エンジン音が響いたかと思うと、凄まじい爆音が聞こえ、やがてそれもあっと言う間に遠のいた。

暁は月城を振り返り、潤んだ瞳で笑った。
「…行っちゃった…」
月城の胸が錐で刺されたかのように痛んだ。
「…暁様…」
生田は何かを察したかのように、二人を残して静かに退出した。

月城は床に落ちたままのクリスマスリースを拾い上げ、暁に手渡す。
「…ご一緒に、飾りましょう…」
暁は素直に頷いた。
そして、リースを樅木に飾りながら
「…兄さんと、光さんは…愛し合っているの…?」
と、小さな声で尋ねた。
月城が息を呑む。
やがて、彼は口を開いた。
「…はい。そのようにお伺いしております…」

暁は丁寧にオーナメントを飾りながら、感情を押し殺して尋ねる。
「詳しく聞かせて。…兄さんと光さんの出会いから…」









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