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暁の星と月
第12章 堕天使の涙
「光様のご体調もご安定され、何よりです」
礼也は嬉しそうに頷き、月城を目の前のソファに掛けるように勧める。
自分は背後の洋酒がずらりと並べられた黒檀のキャビネットへと歩き出す。
「一時はどうなるかと思ったがね。…しかし悪阻が収まると今度は、屋敷に篭っているのが退屈らしく馬に乗りに行きたいと言い出されて…。
必死で止めているのだが、あのやんちゃなご性格だ。…何をしでかすか分からない」
そんなことを言いつつも、礼也は光が愛しくて堪らない様子だ。
輝くように美しく闊達で魅力的な妻に翻弄されている様が微笑ましい。
あれ程、結婚に反対していた麻宮侯爵も光の懐妊を受け、人が変わったように相好を崩し、隙あらば産衣だのおもちゃだのを送りつけてくると礼也は苦笑気味に…だが幸せそうに語った。

ひとしきり光の話で盛り上がったあと、月城はさりげなく尋ねた。
「…暁様は今日はお出かけですか?」
日曜日だし、もしかすると暁に会えるのではないかと期待していたのだ。
暁の名前を聞き、礼也はやや表情を曇らせた。
月城はそれを見逃さなかった。

礼也はキャビネットから極上のブランデーを取り出し、バカラのグラスに注いだ。
「…先ほど出かけたよ。…行き先は…分からない…。聞いても曖昧に笑うばかりでね…」
困惑気味な礼也の言葉に、月城は眉を顰めた。
礼也は先ほどと打って変わって深刻な表情をその端正な顔に浮かべた。
そして月城の前にブランデーグラスを置いた。

「…済まないが人払いをさせた。…だから今日は私のもてなしで許してほしい」
ただごとではないと月城も表情を引き締めた。
「そのようなことはお気になさらないでください。…それよりも…もしや、暁様に何か…?」
礼也はブランデーグラスを片手に月城と向かい合って座る。
「…察しが良くて助かるよ。…やはり君に来て貰って良かった…」
溜息交じりに呟く様子も常ならぬ様子だ。
月城は不安に突き動かされるように、重ねて礼也に尋ねた。
「…暁様に…何があったのですか?」
礼也は端正な眉を寄せ、月城を見る。
そして、懇願するように口を開いた。
「…この話は内密にしてくれ。…また、暁にも私からこの話を聞いたことを悟られないようにしてくれ…。
…だが、私の力になってほしい…。君にしか頼めないことなのだ…」



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