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暁の星と月
第12章 堕天使の涙
礼也は静かに語り始めた。
「…先日のことだ。縣商会の大番頭玉木が、言いにくそうに私に伝えてきたのだ。…暁が新宿にあるいかがわしい店に入るところを見た…と」
月城は眼鏡の奥の切れ長の眼を見張る。
「いかがわしい店…」
「…一見、普通のクラブなのだが…会員制クラブらしい。…そこは玉木が言うには退廃的な趣味趣向のものが集まるような店らしいのだ…」
育ちの良い礼也は言いづらそうに言葉を濁す。
「…つまり…男性専門のクラブだ…」
月城は押し黙る。
礼也はふっと息を吐き、胸の内を吐露するように口を開く。
「…暁ももう25の大人だ。色々な恋愛経験もしているだろう。
私は同性愛に偏見は持ってはいない。性的嗜好は様々であっていいと思っている。
…もし暁がそうだとしても、本人が幸せならば構わない。最初は戸惑いは持つだろうが、暁の人生を尊重したい。理解したい。
…だが、そのようないかがわしいクラブに出入りすることが暁の幸せだとは到底思えないのだ。
…何か理由があってそのようなことをしているのなら、訳を知りたいし、出来れば辞めさせたいのだ。…あのように美しい青年だ。いつ何時、危ない眼にあわないとも限らない。それを考えるといてもたってもいられないのだ」

…礼也の切実な親心は月城の胸に染み渡る。
彼はやはり暁を心から愛していて、心配しているのだと感じ入る。
「…私が探偵のような真似をして、万が一気づかれたら、暁は私をもう信用してくれないだろう。
…何かの間違いかもしれないし、疑うような真似はしたくないのだ」
「はい、お気持ちは良く分かります」
礼也は居ずまいを正す。
「…こんなことを頼めるのは君しかいない。家のものや会社のものに知れたら、暁の立場はないだろうし…。
…春馬に頼みたいところだが、どういう訳かここ何年かすっかり暁とは疎遠になってしまった。
親友の風間くんはフランスだ。…口が硬くて、暁のことを少年の頃から知っていて、ずっと親身に温かく見護ってくれた君にしか、こんなことは頼めないのだ。
…月城、暁が本当にそのような店に出入りしているのか、また、もしそうならなぜそのようなことをしているのか、さりげなく尋ねては貰えないだろうか?」
…頼む…と礼也は真摯な眼差しで、月城に頭を下げたのだった。

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