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暁の星と月
第3章 暁の天の河
「…梨央さんは確かに大変な美少女だが、君だって相当な美少年だよ」
驚いて顔を上げると、大紋が照れたように目を伏せた。
…いつもそうだ。大紋さんは、いつも少し照れたように切なげに…そして何か言いたげに僕を見ている。
だけど、僕はどうしたら良いのか、わからない、
…だからこうしてつい、目を伏せてしまうのだ。
「…それはそうと、そんな事情なら夏休みは僕の軽井沢の別荘に来ないか?」
え?と、目を上げると、思いの外真剣な大紋の眼差しにぶつかった。
「今年の夏は少し長めに夏休みを取るつもりなんだ。
…事務所を立ち上げてからずっと休みも殆どなく働き詰めだったからね。…幸いにも今の案件もその頃には落ち着きそうだし、後輩も休ませてやりたいし。
…暁くんさえ良かったら、合宿が終わったらそのまま僕の別荘に来てくれ」
「…大紋さん…でも…」
「礼也も僕の別荘なら文句も言うまい。何しろご近所だからね」
大紋は悪戯っぽく笑った。
確かに、縣家の別荘と大紋家の別荘は1キロも離れていない散歩しながらでもたどり着ける距離だった。
「…妹さんは…雪子さんは、いらっしゃらないのですか?」
「妹は女学校の友人に誘われて那須の別荘に滞在するらしい。女の子5人が集まるそうだよ。…想像するだけでも喧しいよ」
暁は思わずくすりと笑った。
雪子はとても陽気で溌剌とした女学生だ。
兄に似て、スポーツが得意で、しかも学業の成績も優秀、容姿もやや勝気で男勝り風ではあるが美人だ。
「…まあしかし、もし暁くんが軽井沢に来ることになったら、雪子には言わないでおこう。…きっと那須行きは取りやめて軽井沢に居座るだろうからね」
…雪子はどうやら暁が好きらしいと、かつて礼也に楽し気に言われたことがある。
明るく溌剌とした雪子といると、こちらまで楽しい気分になるので、暁も雪子は好きだ。
…だが勿論、恋愛感情の好きではない。
暁が、その人のことを考えると、胸が苦しくなり、切なくなるのは未だにただ一人だ。
…だが、そろそろその人のことをそんな風に想うのはやめにしなくてはならない。
暁は大紋に遠慮勝ちに微笑みながら答えた。
「…はい。では、お言葉に甘えて夏休みにはお世話になります」
驚いて顔を上げると、大紋が照れたように目を伏せた。
…いつもそうだ。大紋さんは、いつも少し照れたように切なげに…そして何か言いたげに僕を見ている。
だけど、僕はどうしたら良いのか、わからない、
…だからこうしてつい、目を伏せてしまうのだ。
「…それはそうと、そんな事情なら夏休みは僕の軽井沢の別荘に来ないか?」
え?と、目を上げると、思いの外真剣な大紋の眼差しにぶつかった。
「今年の夏は少し長めに夏休みを取るつもりなんだ。
…事務所を立ち上げてからずっと休みも殆どなく働き詰めだったからね。…幸いにも今の案件もその頃には落ち着きそうだし、後輩も休ませてやりたいし。
…暁くんさえ良かったら、合宿が終わったらそのまま僕の別荘に来てくれ」
「…大紋さん…でも…」
「礼也も僕の別荘なら文句も言うまい。何しろご近所だからね」
大紋は悪戯っぽく笑った。
確かに、縣家の別荘と大紋家の別荘は1キロも離れていない散歩しながらでもたどり着ける距離だった。
「…妹さんは…雪子さんは、いらっしゃらないのですか?」
「妹は女学校の友人に誘われて那須の別荘に滞在するらしい。女の子5人が集まるそうだよ。…想像するだけでも喧しいよ」
暁は思わずくすりと笑った。
雪子はとても陽気で溌剌とした女学生だ。
兄に似て、スポーツが得意で、しかも学業の成績も優秀、容姿もやや勝気で男勝り風ではあるが美人だ。
「…まあしかし、もし暁くんが軽井沢に来ることになったら、雪子には言わないでおこう。…きっと那須行きは取りやめて軽井沢に居座るだろうからね」
…雪子はどうやら暁が好きらしいと、かつて礼也に楽し気に言われたことがある。
明るく溌剌とした雪子といると、こちらまで楽しい気分になるので、暁も雪子は好きだ。
…だが勿論、恋愛感情の好きではない。
暁が、その人のことを考えると、胸が苦しくなり、切なくなるのは未だにただ一人だ。
…だが、そろそろその人のことをそんな風に想うのはやめにしなくてはならない。
暁は大紋に遠慮勝ちに微笑みながら答えた。
「…はい。では、お言葉に甘えて夏休みにはお世話になります」