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暁の星と月
第13章 暁の星と月
ざあっと大きな風が吹き、庭の桜の花弁が一斉に縁側の中まで舞い込んで来る。
縁にうつ伏せたままの暁の白い背中にさらに薄紅の桜の花弁が舞い落ちる。

やや汗ばんだ白い背中に儚げな桜の花弁が散る様子は美しい日本画のようだと、月城は傍らで見つめながら感嘆する。

惜しいと思いながら、一枚一枚の花弁を取り除いていると、暁が長い睫毛を震わせて瞼を開いた。
「…暁様…お目覚めになりましたか?」
月城は用意していた白い単衣を暁の背中に掛ける。

暁はゆっくりと寝返りを打ち、月城にその白く華奢な手を差し伸べる。
月城はその手を愛しげに取り、大切に抱き起こす。

暁は月城と瞳を合わせると、真っ直ぐに見つめ告げた。
「…僕は家を出るよ。月城…」
月城は眼鏡の奥の瞳を見張る。
「…暁様…!」
彼を心配させないように柔らかく微笑む。
「…兄さんに僕が同性愛者であることを話す。…理解して貰えるか分からないけれど…。僕はこのまま秘密を隠したまま生きてゆくのは嫌だ。兄さんは僕にとって恩人であり、誰よりも大切な愛する肉親だ。兄さんには嘘を吐きたくない。真実を話したい。
…そして、家を出て自立したい。まだ君と一緒に暮らすことはできないと思うけれど、できるだけ君のそばにいたい。…そして…いつか君と一緒に暮らしたい。
…君と一緒に生きて行きたい。
…そのための第一歩を歩み出したい」
月城は思わず暁の身体を強く抱き締める。
「…暁様…!」
「…いいかな…?…僕が、君のそばに行っても…君と生きて行っても…いいかな…?」
月城の浴衣の胸元で恐る恐る呟く恋人に、月城は胸が締め付けられた。
抱き締める腕を解放し、両手で暁の小さな美しい貌を包み込む。
不安げな恋人を見つめる。
「…私の方こそ…!…私で、よろしいのですか…?」
暁はふわっと微笑った。
「…君がいいんだ…」
「ありがとうございます…。…暁様、私は暁様の為なら全てを棄てる覚悟は出来ております。…私はどんなことがあろうとも暁様のおそばを離れません。…ですから、縣様に心の全てをお話しください。…きっと縣様はご理解くださるはずです…」
暁の白い頬が喜びで薄桃色に染まる。
潤んだ黒い瞳が月城を見つめる。
「…ありがとう、月城。…勇気が湧いてきた」
「…暁様…」
そのまま甘いくちづけを繰り返す。
お互いの絆を確かめるかのように、愛の儀式は終わることはなかった…。
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