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契約的束縛・誘惑なる秘密
第29章 歓喜の一夜

霧斗がずっと手の中にあるピアスを見詰めている、それに合わせるように私も見詰めているけれど、霧斗は急にピアスを摘まみ、自分の耳に突き刺したの!

「霧斗!?」
「ピアスは付けるもんだろ。とは言え、また暫くアレルギーが出るんだろうな。全く面倒な体質だ」
「……え? 霧斗がピアスをしていなかった理由って……」
「あぁ、金属アレルギー。情けなくて言えるか」

嘘! 私は日本では必要無いと思い外していたと思っていたのに、本当の理由が金属アレルギーだったなんて……。言われて初めて知った私。だけどこれ、どう反応すればいいの?

「……笑ってもいいんだぞ?」
「笑うまでは……。でも驚いたかも」
「言えないだろ普通。中央施設に居た頃は我慢していたと思うが、日本に渡ってから直ぐに外した記憶がある」
「霧斗にピアスの穴は無かったよね」
「数年使わなければ塞がるな。だが、こうして見る限り、今は必要そう思っただけだ。アレルギーはまた我慢するさ」

私にすれば驚きの事実。別の意味で吃驚じゃない?
まだ固定が緩く揺れる霧斗のピアスに、私はキスを1つ贈る。

「……美波」
「おまじない……。
アレルギーが出ませんようにって。ほんの少しだけ力が籠っているから、ご利益があるかも知れない」
「おまじないな。どちらかと言えば、こっちが良いな」
「? ……んっ!」

まだ顔が近かったせいか、霧斗の唇が直ぐに私の唇へと重なるの。甘い匂いと力強い唇は、私の心をも溶かしていくみたい。

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