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サイレントエモーショナルサマー
第31章 istinto

どうやら先週やたらと社外に出る時間を取っていたのは今週の浩志の夏季休暇に合わせてその前に挨拶回りを済ませる為だったらしい。浩志のやつめ、先に言っておいてくれればいいものを。前に聞いたような気がしないでもないが、彼の夏季休暇の日程などすっかり忘れていた。

無人のデスクをちらりと見やって、今週の自分の動きを確認する。締め切りが迫っている書類も、資料もないし、経費の精算も溜め込んでいない。倉庫番は先週で完全にミヤコちゃんに引き継いだので、彼女からのヘルプがなければ倉庫に向かう必要もないだろう。

あれやこれやと作業を抱え、残業をしていた日々が嘘のように今週の私のスケジュールはゆとりたっぷりである。

― イライラしなくて済みそうだな

禁欲期間の折り返しを過ぎた今日は、恥ずかしながら一番導火線の短い日である。ほっと息を吐いて起動したPCにパスワードを打ち込んでいくとどことなくニヤニヤした藤くんがフロアへと入ってくる。さっとこちらへ視線をやって浩志のデスクが無人であることを確認し、彼は笑みを深くした。

小さく手を振って自分のデスクへと向かうかと思いきや藤くんは私の方へ向かってきて、無人のデスクの椅子を引いた。

「藤くん、先週浩志の休み確認してたでしょ」
「中原さんのことだからどうにかずらしてくるんじゃないかって思いましたけど休み取ることにしたみたいですね」

藤くんが去った後できちんと椅子を戻しておかないと休み明けの浩志がぶち切れそうだ。全くもう、と息をつくと藤くんはぴたりと椅子をくっつけて私の腰を抱いてくる。

「こら。ここは会社です。ちゃんとお仕事してください」
「まだ始業まで10分もありますよ」
「あのね…ちゃんと仕事しないと猫やんないよ」
「俺が真面目に仕事したら猫以外もやってくれますか?」
「……検討します」
「今週ずっとランチも一緒に行ってくれますか」
「それも、検討する。でも、ちょっとでもサボったら全部ナシだよ。約束してください」

ぴんと小指を立てた手を藤くんに向ける。彼はにこっと笑ってそこに自分の小指を絡ませる。指切りげんまん嘘ついたら針千本じゃ済まさんぞ。
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