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サイレントエモーショナルサマー
第34章 psicologia
「やだ…藤くん…汚い…」
「シャワー浴びたでしょ」
ぱくりと親指を口に含んだかと思うとなまぬるい舌をそれに絡ませる。ぞくりとして逃げようとすれば射精したばかりなのに硬さを失わないモノがいいところを擦った。
幾度か甘噛みして親指を解放。ちゅ、と口づけてまだ僅かに擦り傷の残る足の裏を舐める。見せつけるように舌を出して側面。内くるぶしは食むように。足首には強く吸いついてやっと足を離してくれる。
内腿を撫でてからじりじりと腰を引く。藤くんのモノが抜けていくと空虚感が胸を襲った。慌てて起き上がってベッドの縁に腰かける彼の後ろから抱き着く。
「苛々、落ち着きました?」
「ん。ありがと」
首をひねって、ちゅっと可愛いキス。頬を寄せ合って目を伏せる。暫く抱き着いたままでいて汗が引いてからそっと身体を離した。もう一度軽くシャワーを浴びてじゃれ合いながらベッドにもぐり込む。
「どうして急にお弁当とお菓子作ったりしたんですか?」
私を抱き寄せて藤くんが問う。彼の分のカップケーキの包みは開封されず、ちょこんとソファーの前のローテーブルに乗っかっている。今すぐ食べたいと言った彼を制してキスとセックスをねだったからだ。
「…なんとなく」
「次から予告してください。そしたら前の晩から飯抜くんで」
「……いや、そこまでしなくても」
「俺ね、卵焼きは甘いのよりしょっぱいのがいいです。あと、おにぎりは梅が好きです」
上機嫌な藤くんの声を聞きながら、うとうとと瞼は重くなっていった。眠りつく寸前に、おやすみなさいと言ってくれた声が聞こえたような気がする。浩志とは違う、優しくてキスみたいに甘ったるい声だった。