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サイレントエモーショナルサマー
第34章 psicologia
◇◆
― 好き。あなたのことが大好き。
ああ、前と同じ夢だ。あの時の『彼』には身体の熱も、顔もなく、触れようと手を伸ばしたとき、身体が指先から灰になってさらさらと宙を舞って消えていった。
― ずっと一緒に居て。私を独りきりにしないで。
ゆっくりと『彼』は頷く。今度の『彼』にはきちんと顔があり、そっとそっと、静かに微笑んでいる。
溢れ出しそうになる涙を堪えて、手を伸ばす。
指先から灰になって散ったのは私の方だった。