この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
飼っていたペットに飼われています。
第6章 後悔(サキ目線)
 スイがいなくなって1年が過ぎようとしていたこの日は、大学の帰りに雨が急に降り出してきた。
 雨粒を避けるように顔を伏せ、小走りでアパートの入り口まで来たものだから前に人がいることに気が付かず…。
 ーードンッ。
「わっ、ごめんなさい!」
 慌てて顔をあげると、190cm近い大きな男の人がいた。
「大丈夫だよ。こちらこそ急に雨が降ってきたもんだから、勝手に家の前借りてごめんね。」
 黒い革のジャケットに少しダメージのあるデニムを履いたその人はサキより少し年上に見えた。
「いえ、通り雨だと思うんですけどちょっと勢いが強くて困りますよね。」
「うん。」
 そう答えてにこっと笑う初めて会ったその人を、サキはどこか懐かしいと感じていた。
 切れ長だけど少しつり目で、筋が通った高い鼻、シャープな輪郭は端正な顔立ちだと思う。思うというのは、彼がマスクをしているから全体はわからないからだ。
「あっ、よかったらうちの傘使いませんか?」
「いいの? 助かるなぁ。」
 急いで家の鍵を開ける。ところが傘立てを見るとすべて女性用の小さな物で、大きな彼に持たせても何の役にも立ちそうになかった。
「男性が持つには少し難しそうなものばかりですよね…。」
「そうだねぇ…。」
 しばしの沈黙のあと、意を決する。
「あの、よかったら雨が止むまでうちに上がって待っていてください。」
 普段のサキなら決して、初めて会った男性を家に上げることなどあり得ないのだが、その人はどうしても他人じゃない気がしたのだ。

 数時間後にこの判断を深く後悔することになるとも知らず。
/143ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ