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飼っていたペットに飼われています。
第7章 久しぶりだね?(スイ目線)
 彼女の部屋はやや殺風景だと思える程綺麗に整頓されていた。
「あっ、ここに座ってください。いまお茶入れますね。」
 差し出されたタオルで髪を拭きながら白いテーブルの前の小さなクッションに腰を下ろす。彼女はお茶と昨日焼いたものだというキャロットクッキーを出しながらその向かい側に座った。

 この部屋にはどう考えても不自然な物がある。空っぽの大きな水槽だ。
「何か飼ってるの?」
「いえ…、いまは…。」
 サッと彼女の顔が曇った。
「…ずっと一緒にいてくれたのに、私がその子を傷つけるようなことをしてしまって、いなくなっちゃったんです。きっと、私のこと怒ってます。」
「怒ってるって?」
 ぽつりぽつりと彼女がこれまでの出来事を語る。最後の夜に起きたことは世話になっている家族にすら言ったことがなかったのにと、不思議そうに話した。

「もし、スイが帰ってきてくれたらここで2人でずっと暮らせるのになっていつも考えちゃいます。いつ帰ってきてもいいように、あの子の好きな人参も毎日用意してるから人参料理ばっかり得意に…。って、なんで私初めて会った方にこんなことまで話してるんだろう。すみません!」
「いや、もっと話してよ。」
 彼女は何も変わっていない。それどころかこんなに自分を想ってくれていたのだと知れて嬉しかった。
 ブー、ブー、ブー…。
 テーブルの上にある彼女のスマホが震えた。
「どうぞ。」
「すみません!」
 彼女がキッチンの方へ走って背を向け、小声で話す。
「あ、侑斗くん。…うん、もう家だよ。連絡してなくてごめんね。…旅行? 叔母さん達と? …え? ふたりで?…あっ、ううん大丈夫。…じゃあ来月空けておくね。またね。」

 胸の中で消えかかっていた炎がゆらりと大きくなる。
「…彼氏?」
 振り返りながら彼女が答えた。
「いえ、まだ…。え?」
 気がつくと彼女の真後ろに立っていた。もう、戻れない。
「久しぶりだね?」
 顔を近づけ、舌を伸ばして頬を舐める。久しぶりの彼女の味に胸が躍る。
こちらを見る大きな目が零れそうなくらい開かれた。

「………スイ?」
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