この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Short ★ Short
第4章 万年ジャージ姿の金髪女
◆鬱々とした塾長のお話

「B、本棚にある、いつもの数Bのテキスト持ってきてくれない?」

俺は、アルバイトのBにそう伝える。

Bはこの学習塾でアルバイトをしている、大学1年の男性講師だ。薬学部で化学などをいま学んでいるらしいが、高校時代に化学が得意で無かったからか、さっぱり講義についてゆけていないらしい。
であるからに仕事が始まる前、この塾の本棚に置いてある高校化学の参考書を持ち出して、ときどき向こうの自習室でひとり復習しているようである。

「塾長。はい、持ってきましたよ」

爽やかな好青年のBが、頼んでいた数学のテキストを持ってきてくれた。紫色の表紙のこの数Bのテキストは、ある業者が販売するこの業界でしか出回っていない代物だ。何せ、初心者というか入門者に向けたテキストで、その解法の真髄や定理の本質などを説くよりも、いかにして定期テストでどれだけ効率よく簡単に点数を稼げるかを説いたテキストだ。
俺は、このテキストを生徒たちに使わせたくは無いのだが、需要と供給の経済学上のお話からか、どうも塾業界ではこのテキストが馬鹿売れしているらしい。なるほど、世の中というものは苦労なく甘い汁が吸いたいのだと知ったのは、後の祭りではあったのだが……。

夜間になり、私の経営しているこの学習塾も、本番の時を迎えてくる。当塾では小学生は受け入れては居らず、中高生を中心に学習支援をしている個別指導塾だ。小学生は遊んで、食って、寝て、それで学校で一生懸命勉強するだけでいいと、俺は強く思っているからである。いや、親御さんからたっぷり愛情を注いでもらいたいとのことから、当塾では小学生を受け入れていないのだ。

「塾長!まじヤバいんすけどぉ~。中間考査、数学赤点取っちゃっいましたよ!」

高校2年の女子生徒のCだ。数学の担当は俺だったから、その責任の半分は確実にある。

「ごめんな、俺の教え方が悪かったんだろう」

「いやいや、塾長がそんなこと言わなくても」

「問題と解答用紙持ってきたか?」

「はい、これです」

この生徒の高校の考査では、40点を切ると赤点となる。内容を見てみると、加法定理を用いた三角関数の問題や指数・対数関数の問題ばかりだった。
/46ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ