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第1章 トレンチコートのおんな
 庶務課を抜けてから、社食に来るとD部長が一人窓際で食べていた。私は彼の隣の隣のとなり位の席に着いて、日替わり定食を摂る。 
 ケータイを開くと、Aからのメールが2通ほど入っていた。

◆メール1

 Subject;きのうはありがとう

 助けられました。また一緒に和食でも食べに行きましょう。
 あるいは何か色々と提案でもして下さい?

◆メール2
 
 Subject;(無題)
 
 (何かの顔文字がいくつか並んでいる構図)



 2通目のメールは一体何なんだろうと思った。どういう意味なんだろうか?その後、13時からの○○のために、庶務課にて依頼していた配布資料を受け取る。
 
 会議室Bに入ると、まだ誰も来ていなかった。配付資料に目を通しながら、時計を見つつ、Aにメールを返信した。そして、しばらくするとご機嫌斜めなDが入室してくる。

 「部長」
 「資料は?」
 「プロジェクターの脇にあります」

 その後、次々と○○のメンバーが集った。



 16時頃、守秘義務のある○○を終えてから、定例業務をこなした後、私は退社した。
 自宅に着いてから、ふと何かを忘れていることに気が付いた。何も食べる気にもなれずに、そのまま泥のようにベッドの中で眠った。

ーーふと気づくと、何かの夢を見ていた。ただ、それが何なのか一向に思い出せない。

 深夜、目が覚めたので思案に興じることにした。窓辺に月の光がうっすらと映っている。心の中にAやB、C、Dの存在などが浮かび上がってくる。

 そして、眼前に光が見える。光ばかり見ていた。光ばかりただただ見ていた。背後を振り返ると、闇の中に蠢く無数の名もなき人々の存在が漂う。
 その中に、AやB、そしてDが居たような気がした。だが、Cだけが私と同じ薄ぼんやりした闇と光の曖昧さの中で、ほのかな輪郭を保ち、その風の中で共に居たような気がした。
 明日、Cに会ったら「ありがとう」って伝えよう。そして、大切に大切にしよう。
 私がそのとき窓辺から外に目を向けると、月夜が優しく世界に満ちていることに気づいた。そして、その世界の中心で、猛獣が吐息を立てて寝ているような気がした。

 「I Love Youって『月が綺麗ですね』って・・・・・・」

 Aさんの言葉をふと思い出す。適わないね私にはと、その時思った。(了)
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