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第11章 新田 誠治
戸建ての我が家には、小さいながらも庭がある。

まぁ、庭、といったところで、面積は猫の額というヤツで。
洗濯物干し場としての機能しか有しておらず、威張れる程のものでもないが。
広い庭があったところで手入れが大変なだけだよ、なんて、負け惜しみにしても虚しすぎるから言わないけどさ。

ただ、妻の桜子の毎日の家事が少しでも楽になれば、と、いちいち庭に降りなくても洗濯物が干せるように、ウッドデッキを増築したのが一昨年のこと。

それが、洗濯物を取り入れた後、今頃の季節は丁度いい俺の特等席だったり、する。コレは嬉しい誤算だった。

日曜の夕方。
日が落ちた後、蚊取り線香を焚いてウッドデッキでビールを一杯。
吹き抜ける風が心地いい。

目の前の道路との間には、目隠しの生垣があるだけ。
あとは隅っこにプランターが並び、桜子がバジル、ローズマリーなんかのハーブ類と、ネギと青じそを育てている。それらはよく食卓にも登場する。


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