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第11章 新田 誠治
「なんて言いながら昔っから取り寄せてるんだけどね」

と桜子は慣れたモノで、ありがとう、と受け取り、惜しげなく食卓に出してくれるけど、そのお裾分けだけでも年間通すと結構な額だったりする。

きっとこのトウモロコシも北海道のヤツとかなんだろうなぁ。めちゃくちゃ甘いもん…塩茹でしたのがまたビールに合うんだけどさ…

不意に玄関チャイムが鳴り、桜子が応対に行く。

しばらくして戻って来た桜子が、

「誠治さん。花火しよっか?」

と言った。

「は? どうしたの急に?」

「今日はね、角の公園で子供会の花火大会なんですって。」

子供会の花火大会…あぁ、もうそんな時期か。
地域の子供会が主催する、花火大会。もちろん打上げ花火じゃあない。子供会の予算で手持ち花火を買って、子供たちがそれで遊ぶ、ってヤツだ。ウチの子たちも昔はよく行ってた。
さすがにもう花火って歳でもないけど。

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