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第11章 新田 誠治
「んー。カレーのスペースも空けとかないとな。じゃあ、一切れだけ食べたい、って言ってもいい?」

「大丈夫よ?まだ湯がいたばっかりで、ほぐしてないから。」

「じゃあ、こんくらい。」

親指と人差し指で10センチくらい示してみる。

「はーい。ちょっと待ってね。」

桜子がカットしたトウモロコシを持って来てくれて、前歯で齧る。
前歯の隙間に皮が挟まっちゃうんだけど、美味いんだよなぁ。

桜子の実家は結構裕福な家だ。
お爺さんが会社を経営していて、会社自体は代替わりして伯父さんが継いでるらしいが、桜子のお母さんも大株主で、お父さんも大企業に勤めてた、まぁ、お嬢なワケだ。
で、なさぬ仲の子供たちへの小遣いも奮発してくれるし、ウチにも何かと良くしてくれる。
そんな桜子のお母さんの趣味でもある、産地お取り寄せ。

「歳をとると、量は要らないから美味しいモノが食べたいのよねぇ〜」

というのが口癖で。全国各地の名産品をお取り寄せしてはウチにもお裾分けしてくれる。
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