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第20章 北川 遙
「ぅんッ…」

がく、と力が抜けて、樹さんの首にしがみついたまま。
樹さんは満足そうに笑って、ティッシュで拭いてくれる。

「俺が何回遙のイき顔見たと思ってんだ。判らんわけないだろ。」

ニヤ、と口角を吊り上げる、自信たっぷりなその笑顔は、ちょっと腹がたつほどカッコいい。

「今日は、再開一発目だから、このくらいにして、徐々に、な?」

「ん。」

パジャマを戻し、横になる。

やっぱり、好きな人に抱かれるのって心が満たされるんだなぁ…
この感じがなくても1年間、不安とか焦りを感じずにいられたなんて、(大樹の体調とか別の心配はあったけど)ホント出産が女の心理に与える影響ってすごい、と改めて思う。

「あ、大樹連れてこなきゃ…」

「え?一緒に寝ないのかよ?」

「親子3人川の字で…ダメ?」

「ダメじゃないけど…寝返り打ったら潰しそうでコワイ…」

「そう?」

「多分、それが心配で寝れない。逆になんで遙が平気で寝れるのかも不思議だし、お互いコロコロしてんのに潰さないのがもっと不思議。」

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