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続・飼っていたペットに飼われています。
第5章 再び彼のお世話を始めます。③(スイ目線)
 メンバーはビックリしていたけど、サキはもともとこういう芯の強いところがあるんだ。
 1度決めたら曲げない、周りにどう思われても関係ない。そういう頑固なサキも俺は好きだ。
 でも、あんなに本気で怒ったのを見たのは久しぶりだったな。

 スタジオに籠もって曲を作りながら、小学校2年生の時の彼女を思いだす。

 優しげな面影のサキに似たお母さんが俺の水槽にバスタオルをかけながら話しかける。
「スイちゃん暗くしてごめんね? みんなビックリしちゃうと思うから少しだけおやすみしててくれる? あの大人しいサキが初めてここにお友達を連れてくるから、私嬉しいの。」
 ーーわかってますよ、お母さん。ちゃんと音ひとつたてませんから安心してください。

 そんな、俺達の誓いを余所にサキは部屋に入るなり、
「あのね、サキの大切なおともだちだから一緒に遊んでいい?」
 と3人の女の子の前でそのバスタオルを取って俺を抱き上げた。
「「「イヤーーーっっ!」」」
 幼い彼女たちは悲鳴をあげ、
「気持ち悪い!」
「怖い!」
「バケモノ!」
 と口々にサキに向かって罵った。
「……きもちわるくないし、こわくもバケモノでもないもん。」
 よせばいいのに、黙って聞いていたサキが反撃に転じる。
「スイは優しいし、世界一かっこいいもん。」
 それを見て女子たちはクスクスと顔を見合わせて笑いだした。
「ほら、だからやめようって言ったでしょ?」
「前田先生に清宮さんがいつも1人でかわいそうだからって頼まれたから来てあげたのにね?」
「清宮さんって、放課後いつも前田先生に空き教室に呼び出されて黙ってお膝に乗せられてるもんね。そういうのやらしいってうちのママが言ってた。」
「もうこんな所早く出てうちで遊ぼ?」
 出ていった女子たちを静かに見送り扉を閉めたサキが泣いたのは自分のためじゃなかった。
「ふぇ…っ。すいごめんね。すいいっぱい嫌なこと言われてごめんね…っ。」
 俺の背中を濡らす温かい涙が溢れる頬をただ舐めてやる。
「さき…もうおともだち作らない。だれも連れてこないから。」
 そう言って彼女は本当にそこから家族以外の誰も部屋に入れず、放課後はいつも俺と誰もいない公園で遊んだ。
 正直、俺はサキを独占できるからいいけど、ご両親はさぞ心配だったことだろう。
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