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続・飼っていたペットに飼われています。
第54章 あげない(スイ目線)
 小さい声で「…トワって誰? …トワって誰?」と繰り返し呟いているサキをギュッと強く抱きしめて「昔の友達だよ。でももう顔も覚えてない。」と囁き返すとサキは静かになって俺の背中にしがみついた。
 その様子をわなわなと震えて見ているトオルが可哀想で可笑しくて笑えてくる。
「でも俺、トオルのこと嫌いじゃないよ。馬鹿で優しくて自分より他人に甘くて。そういうとこサキに似てるから。」
 急に名前を出されてビクッと肩を震わせるサキの頭を片手で撫でながら、もう一方で自分がつけた噛み痕をなぞるように項に手をやると、ずっと早打ちしている心臓の音が少しだけゆっくりとしたリズムに変わったので話を続ける。
「トワは最後何を願ったと思う? お前が言ってた未来の俺の幸せとお前の幸せだよ。トワはあの親父から自分を庇おうとして殺されるお前の未来が視えてたんだ。そんなん視えても気にしないでトオルに親父を殺させて幸せになることだけ願えばよかったのにな。まあ、そもそも美咲の墓に立ち寄らなかったら間に合ってたろうし、そう言うツメが甘い時点でトオルはあの残虐非道な親父に勝てないか。」
「…勝つよ! 今度こそ、俺とスイと高木さんみんなで力を合わせれば今度こそ…、次の未来こそ転生したトワと…。」
「次はない。」
 根本的に俺はこいつらと考え方が違う。
「俺はサキを転生なんてさせる気ないし、なんなら最近は俺を置いて死ぬことすら許したくないないなって思ってるんだ。転生したらもうそれはサキじゃない。俺はサキが好きなんだよ。何回も転生して、トワを見つけられなくて、結局今回もトワに似た女セフレにして自分を誤魔化してるトオルとは違うんだ。」
 そういうとトオルは大きくため息をついて目の前のイスを引き座って頭を抱えた。
「……………。スイの言ってる自分の甘さ、よくわかったよ。でも俺、リサにはちょっと本気なんだ。だからトワに申し訳なくてサキちゃんの存在に気づいてもなかなか行動に移せなかった部分もあるって言い訳させて。」
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