この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
幼い頃から何故か暗闇は嫌いだ。それは多分、母の訃報を知らされたあの瞬間、眼の前が真っ暗になったときのことを思い出すからだろう。五歳の幼子だった自分にとって、母の突然の死はそれほどまでに心の痛手を与えたのだ。
トーマスは窓際まで歩いてゆき、重厚なマホガニーの机から写真立てを取り上げた。
「母さん」
銀製のフォトフレームの中では、まだ赤ちゃんだった彼を抱いた母が笑っている。傍らには若かりし父が寄り添っている。どこから見ても、幸せそのものの家族の写真だ。
トーマスは窓際まで歩いてゆき、重厚なマホガニーの机から写真立てを取り上げた。
「母さん」
銀製のフォトフレームの中では、まだ赤ちゃんだった彼を抱いた母が笑っている。傍らには若かりし父が寄り添っている。どこから見ても、幸せそのものの家族の写真だ。