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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
 幼い頃から何故か暗闇は嫌いだ。それは多分、母の訃報を知らされたあの瞬間、眼の前が真っ暗になったときのことを思い出すからだろう。五歳の幼子だった自分にとって、母の突然の死はそれほどまでに心の痛手を与えたのだ。



 トーマスは窓際まで歩いてゆき、重厚なマホガニーの机から写真立てを取り上げた。


「母さん」


 銀製のフォトフレームの中では、まだ赤ちゃんだった彼を抱いた母が笑っている。傍らには若かりし父が寄り添っている。どこから見ても、幸せそのものの家族の写真だ。
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